『The Memory Book』〜知らなくても損しない時代になった記憶術

読書スピードとか記憶力とか論理的思考能力とか、RPGでいうところの「パラメーター」的なものを強化しようと思って読んでみた、amazon.comで評価の高かった記憶術本。ただし洋書。
しかしまあ、結果としては「パラメーター本」でなく「スキル本」であったわけだが。
 
つまり、この本を読み終えると、他に何もしなくても記憶力が良くなる、というわけではなく、この本に載っているテクニックを使えば、人の名前とか桁数の多い数字とか、あるいは外国語のボキャブラリー等が覚えられるという、「スキル本」、「テクニック本」の類だったのだったのだった。
 
もちろん、そのテクニックの有用性はある程度認めなければいけないところだし、更にこの本、かなりの定番ではあるらしい。だが、定番として長い歴史を持つがゆえに、出版時から劇的変化を経た現在においても出版当時の効力があるかどうかは結構疑問であったりする。
例えば、携帯電話の普及もあって電話番号を記憶する必要性はなくなってきたし、グーグル先生のおかげで難しい単語も結構簡単に思い出せるようになっている。会議の日程についてはオンラインに登録しておけばリマインダーが送られてくるわけだし。
人の顔をおぼえるメソッドについては、名前と顔を一致させるのが苦手な私にとって結構有り難かったが、その他の効果のほどは微妙だろうか。
この本は英語話者用に書かれているが、長い数字や難しい単語、元素の周期表などについては、言葉遊びに適した言語である日本語で覚えた方が、きっと覚えやすい。なんせ1次元的に書くアルファベットに対し、母音と子音で2次元のテーブルを作る五十音である。
 
ちなみに、本書で使われている英語のレベルはそれほど高くないので、速読の練習にも使えるかもしれない。
 
 
余談だが、このセリフを無駄に思い出させる本であった。

コンピューターの普及が記憶の外部化を可能にした時、あなたたちはその意味をもっと真剣に考えるべきだった
人形使い