『第8の習慣』〜読書会に行ってきた〜本質か小手先か


昨日、名古屋アウトプット勉強会mixiリンク)の読書会へ行ってきたので、書評と兼ねて報告。

なんだかんだいって読書会は初参加、ネットで知り合ってオフで会うという経験さえほとんど無いひきこもリア充の私だが、やはりたまには外に出てみるもんだとか思わないでもなかった。
個人的な読書会の話はエントリの後ろに回し、まずは課題図書たる『第8の習慣』の書評から。

書評

多くの人にとって有益な本であることは認めるが、私はあまり好きでない。むしろ嫌いなタイプの本である。
著者は『7つの習慣』と『第8の習慣』を「普遍・不変の法則」と呼んでいる。しかし、そもそも「不変的かつ普遍的*1な法則なんてものが、科学的法則を離れて存在しうるのか*2、私にとっては大いに疑問である。ここで、我々人間の文化なんて、宇宙の歴史に比べたらホンに刹那的なものですよ、そこに「不変・普遍の原則」なんてね、などという宇宙スゲエ論を持ち出す気は無い。それよりも私は、刹那に生まれた人類でさえ、そんな「不変・普遍の原則」で縛れないほどの多様性を持っているのではないかと主張したいのである。そして、そのような仮初の原則に基づいて、小手先論的ビジネス書を批判する本書の欺瞞的態度も。
 
とにかく私は「普遍・不変」が好きでない。蓋し、それは暴力的だからである。「普遍・不変」は、彼らと彼らの補集合との間に、超えられない一線を引くからである。それは「正しき者」と「間違った者」との境界線であり、「成功する者」と「失敗する者」、「救われる者」と「救われない者」の境界線でもある。本書における後者の代表格はヒトラーであり、私も彼を弁護する気など毛頭無いが、しかし、じゃあ彼に負けた頃のフランスは、彼よりもなお「救われぬ者」だったとでも言うのか。あるいは、「ここを渡れば人間世界の悲惨、渡らなければわが破滅」と言った男の偉大さを知らないとでもいうのか。「正しき者」の範囲外に住むことを余儀なくされ、それでも日々を精一杯生きている何億、何十億もの人たちを前に、彼らの置かれた絶望的に固有な状況を無視して「あなたは間違っている」などと言えるのか。せいぜいが「先進国プラスアルファ」、日々何とか生きていける程度の状況でしか通じない法則をもって「普遍・不変」というのは、おこがましいとは思わんかね。
 
ちなみに私は、某司法試験予備校の有名塾長にも同じ臭いを感じている。あの「やればできる、必ずできる」のである。この言葉も、「できない→やってない」*3を語る、非常に傲慢な言葉であろう。本人は「できない人」が多いほど儲かり、長者番付にも載ったにも関わらず、である。
 
本書は、最近流行の小手先論的ビジネス書を、「人格主義からはずれている」といって批判している。しかし、先に述べたように、本書のよって立つものは「普遍・不変の原則」ではない。せいぜいが、「あなたが仕事・生活の上で会う人物の大多数に共有されているだろう法則」でしかない。となると、「仕事の上で会う人は大体こうだから、こうすればうまく行く」的な小手先論的ビジネス書との差異は、非常に相対的なものになってくるだろう。
 
とまあ、みんなが肯定的意見しか書かないので、徒然と本書の悪口を書いてみたが、しかしまあ、哲学者でもない限り、上に書いたようなことを気にする必要は、あまりない。ただ、本書に書いてあるようなことをホイホイと受け入れてしまうようでは、あまりにホイホイチャーハンなのではないか、と私なんかは思うのであった。(関連エントリ『ぐれる!』〜中島義道が勝間和代とカツマーの欺瞞を白昼のもとに晒すようです
 
私は「役に立つもの」が嫌いなわけではない。むしろ好きである。ただ、役に立つものは役に立つものとして割り切った考えが好きである。「問題は「べき論」でなくて、それがちゃんと役に立つかどうかだよ!」といっていた『Life Strategies』(邦訳:『史上最強の人生戦略マニュアル』)なんか凄く好きである。
 

読書会記録

19:00より開催のところ、伏見の開場(某ビル)に到着したのが18:40ごろ。「←読書会開場」的な張り紙を追っていくと、その先は一般企業のテナント入り口。中を覗くが、人気が無い。入っていいのかと一通り逡巡した後、でも入るしかないから入ると、右手に開場らしき部屋が。
早速入って主催者の方に挨拶。初参加ということで、プレゼントまで頂いた。ありがとうございます。お腹が減ることを予測して、近くのサークルKで買ったチャーシューまん(マヨ風味)を食べる。うまい。セブンイレブンの豚角煮まんの次に好き。
読書会開始は19:00ごろで、まずは自己紹介から。いろんな種類の人がいる。社会人ということで、遅れてくる人も多いが、受け入れてる雰囲気。
自己紹介終了後は、一人ずつ感想を言い合いつつ、お互いにコメントしていく。他の本や格言からの引用ができる人ってカッコイイですね。
丁度全員がコメントし終わったところで、21:00過ぎ。これから近くの飲み屋で2次会。
2次会のテーブルは、6人がけのうち4人が女性だが、相手が社会人だとそういうのあまり気にせず話せる気が。料理はそこそこ。伊坂幸太郎と、英語と、ローマ人の話で個人的に盛り上がる。伊坂幸太郎好きに悪い人はいない、はず。
家が遠めなので、早めに退散。後でそこまで早くなくても良かったのでは、とか思ったけど、まあいいや。
 
とりあえず、非常に面白かったので、また機会があれば行きます。よろしくお願いします>各位

*1:順番は忘れた

*2:「科学的な法則でさえ、この銀河を出たら変わってくるよ」(大意)ということも聞いたことがあるし

*3:対偶