『読書進化論』ほか

新しいブログを始めるという決定をしたことでテンションが上がってしまったのか、少々本を買いすぎた一週間だった。貧乏学生なのに1万以上本を買った計算。


読書というのは、著者から読者への情報伝達であり、情報伝達ということは、それはコミュニケーションであり、コミュニケーションは人と人とをつなぐ。
かつて、この情報伝達は一方通行だったのだが、ネットの登場により(手垢のついた言い回しだなこれも)、著者と読者との双方向でのつながりが可能になった。読者からのフィードバックをバシバシ受け取っていたのが、少し前なら梅田望夫氏であり、現在なら著者や小飼弾氏であったりするのだろう(こちら等参照)。「本」がネットに侵入しているのか、ネットが「本」の世界を侵そうとしているのか、それはわからないが、一本好きとして、読書の未来が楽しみになる本であった。
ただ、少し残念だったのは、本書のターゲットが「本を読む人」+「ちょっと本を読む人」+「本を読まない人」で、それなんて人類全体のMECE集合。まあ興味のない箇所・既知の箇所はサッサと飛ばしてくんでいいですけどさ。


ひらめきの導火線 (PHP新書)

ひらめきの導火線 (PHP新書)

今をときめくキラッ☆な農家学者、じゃなくて脳科学者、茂木健一郎氏の最新巻。
現在、大学の生協で茂木本を買うと、11月2日に名古屋大学の豊田講堂で行われる、この本「ひらめきの導火線 トヨタノーベル賞」の発刊記念講演会の整理券が無料でもらえるので、そっち目当てで買ってしまった、というのもある。
茂木氏が予測していたかどうかは分からないが、この本の発刊後に、日本人3人ノーベル賞を受賞した(南部さんはアメリカ人だろJK)。しかもその全員が、今度講演を行う名古屋大学関係者であり、しかも講演を行う場所が、トヨタが建てた豊田講堂。偶然というか偶有性というかなんというか。
ちなみに、本の内容は、薄いといわざるを得ない。日本企業や日本人的姿勢に対する評価を170ページの新書にまとめるだけでなく、『生物と無生物のあいだ』ばりに、「発明」とは何か、「オリジナリティ」とは何か、というような根源的な位置まで掘り下げて欲しかった。茂木氏にはそういうのを期待してもしすぎではないと思うのだが(忙しいのかもしれんけどさ)。


国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

国語 算数 理科 しごと―子どもと話そう「働くことの意味と価値」

小飼弾氏の『弾言』で紹介されていた、(子供向けの?)「しごと」とは何かを問う本。
の、はずだけど、「借金を返したり配当を配ったりする金ができると約束できる場所に『しごと』が生まれて、その約束を守るのが『しごと』なんだ(大意)」って、いや、確かに私も社会人ではないので弾言はできないが、これって、組織体としての「会社」や「事業」の説明であって、個人が行う「しごと」の説明とは違うんではないだろうか。
採算が取れてなくてもできる仕事もあるにはあるだろうし(公務員とか)、そもそも、会計の約束を気にしてない仕事人も多いのではないか。結局、主人公の女の子の、「パパの仕事はなんですか」的な宿題も、あの説明できちんとできたかどうかわからないしね。


数に強くなる (岩波新書)

数に強くなる (岩波新書)

きっかけは、上と同じく『弾言』での紹介と、勝間和代氏が「メニューの値段と回転率、材料の原価、テナント代とか計算すれば、うまい店かどうか分かります(大意)」と言っていたのを受けて、私も数字をバババッとやってみたいなと思ったので。
物体をみたら水だと思って重さを出し、ドンガラ率を乗じて重さを割り出せ、とか、なんでも1人当たり、1日当たりにしてみろ!という発想はなかなか面白い。
ちなみに私は、高校の初期に数学が苦手で、それを計算の遅さのせいにして、計算のショートサーキットを色々と暗記したり、遅さをカバーする工夫をしていた人なので、計算方法の改良などの点で、共感できる部分はかなりある。