『できそこないの男たち』ほか

就職活動する気もないのに、エ○ジャパンに登録してプロフィールをいじってる私がきましたよ。
てなわけで今週のn冊。

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)』で話題をさらった福岡伸一氏の最新刊。あいも変わらぬ美しい文体と、その文体によって紡がれる「男」の起源には驚かざるを得ない。著者は「さやけき」を余裕綽々で使える数少ない日本人の一人であろう。
単に「男」たる存在の起源を簡単に叙述するのみなら、新書でも300ページを費やす必要はなかったはずであるが、この本の素晴らしいところは、その結論に至る過程やそこで生じたドラマ、そこから生じる薀蓄*1を、魅力的な登場人物と語り口で紹介しているところにある。例えば、顕微鏡の発明者レーウェンフック、世界の遺伝子の歴史を変えたチンギス・ハーン、イラン王室の流れを汲む科学者ヴィジャク・マダービなど。
これらのドラマの中で最も私の印象に残ったのは、結論を急ぐあまり間違った答えに到達してしまった科学者デイビッド・ペイジのストーリーである。彼がどのような問題に対しどのような間違いを犯したのかはここでは割愛するが、著者は、結果として敗者となってしまった彼に対し、アムンゼンとスコットの例を挙げて彼自身の功績をたたえたあと、「ペイジはその後も、そして今でもチャールズ川沿いのMITにある研究室でY染色体についての研究を進めている。」と記している。同じ科学者として、研究に身をささげる者への深い尊敬の念とやさしい眼差しが、確かに感じられる一文であった。
私は一応、いわゆる文系畑の人間だが、どんな生粋の文系人にもお勧めできる本だと思う。


竹中式マトリクス勉強法

竹中式マトリクス勉強法

和歌山の靴屋の息子として生まれ、ハーバードへ留学、後に政治家として小泉改革の一翼を担った竹中平蔵式勉強法。「マトリクス」というのは要するに数学の行列のように、「勉強」を4つの次元に分けて考えなさい、というような意味。
この本の帯には、「1の努力で10の成果」と書いてあるが、これは釣りである。もし竹中平蔵に、「結局、勉強で一番大事なことはなんなんですか。」と聞けば、彼は「1に努力、2に努力、3・4がなくて、5に目標」と答えるに違いない。それくら竹中式勉強法の中核は努力なのである。
ではなぜ、オビに「1の努力で10の成果」と書いたのか。先ほども触れたが、これは釣りであり、楽して成果を上げようとする輩をいましめようと、彼が打った作戦に違いない。しかしまあ、実際こういうので釣られて現実を知るべき人も多い気はする。
あと、彼の元上司たる小泉さんがかなり褒められている。なんだかんだ社会問題を小泉政権の責任にされて、彼らも色々と大変なのだろう。


英単語ピーナツほどおいしいものはない 金メダルコース

英単語ピーナツほどおいしいものはない 金メダルコース

村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける』にて紹介されていたので購入。この本のおかげか、現在amazonの単語帳売り上げランキングにて、このシリーズで1・2・7位。村上本で紹介されていた本は上位10冊中5冊にのぼる。
しかしさすが金メダルコースと言うべきか、TOEFL100点ホルダーでも半分以上間違えたか分からなかった。ただし、日→英でスコアを出していたり、ケアレススペルミスだったり、そもそも日本語訳が微妙だったりすることもあるので、確かなスコアとはいい難い。それでも全般的な難易度は高く、それこそTOELFで90点、100点クラスの単語もありそうである。言い換えれば、東大クラスの大学でも必要としない単語たちである*2

*1:薀蓄などという下品な言葉で表すべきものでもないが

*2:というか、「東大受験英語は単語力を必要としない」という旨のことを、高校時代駿台でお世話になった竹岡広信氏が言っていた気がする。