『The Essential Drucker』〜知識社会よきたれ
- 作者: Peter F. Drucker
- 出版社/メーカー: HarperPB
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: ペーパーバック
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個人的に一番面白かったのは、第三部「Society」*1。全350ページのうち、たった40ページを占めるのみであるが、Management*2にしても「新しい形のIndividual」にしても、それらが語られる背景には、「Society(厳密には「Knowledge society」)」があるのだ。つまり、極端なことを言えば、この本の本質は最後の40ページにあるのである。
できればここできちんとした感想をシタタメタイところではあるのだが、なにぶん洋書であり、英語も簡単ではない部分もあるのでこちらも完全に理解しておらず、はてさて何を書いていいのやらよく分からないのが実情。更に、英語で記された記憶と日本語で記憶された記憶が別々の記憶装置に入れられている感覚がして、そんなわけで英語の記憶を日本語の「感想」にするのは難しいのだ。(あと、ドラッカーの英語についてもうヒトコト言っておくと、そもそも彼はオーストラリア出身で非英語ネイティブであるためか、それとも専門書だからか、英語の難度自体はそれほど高くない。)
昨今のビジネス書ブームで「ビジネス書の読み方」を一部で扱った本が多数出版される中、必ずといっていいほど取り上げられ、多くのビジネスリーダーの座右の書ともなっているドラッカーであるが、初めてこの本でドラッカーに触れて、その凄さを実感した。ただ、以前ココで書いたように、この本に記されているのは、主として「経験から導かれる成功への法則」であって、所与の前提から演繹的に導かれる類の法則の影は薄い。経営という極めてプラクティカルな分野を扱っているため、という理由もあるかもしれないが、それでも「マネジメント・個人・社会を分析したアカデミックな学術書」と呼ぶのは憚られるものがある。この本に呼び名を与えるとすれば、それは「至高のビジネス書」とでもなろう。あるいは、過去の経験・偉大な実業家の例を用いて教え諭す、という意味で、まさに「聖書 Bible」とも呼べるかもしれない。
いずれにせよ、ドラッカーの予測した「Knowledge society」は、その良い面も悪い面もあわせて、多分に実現しつつある。この社会の変化の荒波を切り抜けるためにも、読んでおいて損のない一冊である。