あなたが英語を話せないたった一つの理由

それはずばり、コンテンツがないからなんです!
以下、フリーダムSNSに書いたことをブログ用に一部変更して転載*1

最近の読書(具体的には、『村上式シンプル英語勉強法』や神田昌典氏の『お金と英語の非常識な関係(上)(下)』など)と個人的な経験からして、英語が喋れるようになるには、英語でコンテンツを揃えておく必要があるのだ、以下でその理由を記す。

コンテンツが無いと話せない、というのは英語のみに当てはまるものではない。日本語でも、例えば私なら、「日本におけるサッカーについて3分間説明してみてください」とか言われても無理な話だが、「伊坂幸太郎小説の魅力について3分間説明してください」といわれたら、こちらは余裕である。というか、10分ぐらいはいけるんじゃないか。

英語の場合も同じことが言えて、自分がコンテンツを持っていない分野ではほとんど話せない。ただ、自分がコンテンツを持っている分野ならきちんと話せるかというと、それはそうでもない。
なぜなら、ここにもう一つの壁があるからだ。
それはもちろん「日本語のコンテンツはあるけど英訳されていない」という「英訳」の壁であって、この壁を越えて初めて、その分野についてとりあえず話せるようになる。
また、英訳のみならず、言語と言語の間で概念に微妙な差異が生じることがあって、そういう差異を知る、というのもコンテンツ定立に際しては重要である。「概念の差異」の壁とでも呼ぶか。

私の勉強している法律分野なんかは特にこの壁が厚く、日本法についての知識がいくらあっても、それが英訳されていない限りは全く知識の持ち腐れである。特に法律関係の用語は、日常用語と同じ単語を別の意味で使うことが多いので、それらを知らなければ混乱すること仕切りである。
たとえば多くの土地所有権は「Fee」で始まる(Fee simple absoluteなど)が、この単語の通常の用語は「料金」である。また、「outstanding obligation」といったとき、通常の用語法の理解で行けば、これは「目立つ義務」だが、正しくは「未払い債務」である。「default」は「債務不履行」だし。
ちなみに、概念の差異の壁について言えば、サブプライム問題の原因たる「mortgage」と日本の抵当権は結構違っていたりもする*2。こういうことも、コンテンツを英語で揃えなければ気づかない。

法学以外の例を挙げると、「law of inertia」は何らかの法律ではなく「慣性の法則」であるし、「bull market」「bear market」は動物の市場ではない。

もちろん、一般的な単語というのもあるのだが、それを知っていたところでできる表現というのは非常に限られてくる。「バイリンガルは思考が薄い人が多い」とか、「英語ができて仕事ができない人は、英語も仕事もできない人より始末が悪い」というのは、このあたりに理由があるのではないか。きっと彼らができるのは、天気の話と自己紹介の一部ぐらいだろう、ということで。

と、いうわけで、これらの「壁」を超えるために、ある特定の分野の洋書を読んだりするのは、イタズラに単語集を引くよりも、時として効果がある。
ただ、浅く広いコンテンツ能力が求められるTOEFLなんかの対策には向かないかもしれないけど。


ちなみに、もっと一般的かつ抽象的な、理論的思考というの言語とはまた別なのだろう最近の勉強で気付いたのだけれど、長くなったので今日はここまで。

*1:ちょっと控えめな言い方にしてみました。だって別に私英語の専門家じゃないし。

*2:仮登記担保なんかがそれに近い、とかいう話